人はなぜ足を揉むのか


リフレクソロジーの基礎知識です。

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あなたのふたつの足をそろえると、

そこに、

あなた自身がいるって知っていましたか?

足には反射区という

不思議なしくみがあります。

 反射区は、

からだ中の器官と神経でつながっていて、

反射区を刺激すると、

対応する器官が元気になるという

性質があります。

 

足には、目も耳も鼻も、胃も腸も、

脳も背骨も、

からだにあるものは何でもあります。

 

ですから、

足をマッサージするということは、

全身をマッサージすることと同じです。

 

足をマッサージすると、

足がぽかぽか暖かくなり、

からだ中がリラックスします。

眠くなったり、

少しだるくなったりすることもあります。

それは、とても良いことです。

血液循環が良くなったのです。

からだが求める通りに、

 

眠ったり休んだりしましょう。

 

足をマッサージすると、

おしっこがたくさん出ます。

便通も良くなります。

これは、

あなたのからだの中のいらないものが、

 からだの外に出て行くということです。

 

からだのどこかにコリや痛みがあるあなた、

からだが冷えている感じがするあなた、

からだがむくんでいるあなた、

なんだかとても疲れているあなた、

身体を気持ちよくさせると、

こころも楽になることが多いのです。

 

 

今日は足をマッサージしてみませんか?


もう少し詳しくお話しします。

リフレクソロジーのことを、

「足ツボマッサージ」

ということもありますが、

正式には「足の反射療法」といいます。

英語でいうとReflexology

Reflexは、「反射」という意味です。

光が反射するのもReflexですし、

反射的に〇〇する、というのもReflexです。

ここでは、「反射的」とか「反射神経」など、

無意識の反応という意味です。

リフレクソロジーは、

私たちの体にもともと備わっている

無意識の反応「反射」を活用した療法です。

これから、

リフレクソロジーの基礎知識をお話しします。

それによって、みなさんが、

「やっぱり足は大切だ」と

思っていただければうれしいです。

 

 

まず初めに、

この方法がどこから来たのかを、

お話ししましょう。

誰かが発見したのか、誰かが発明したのか、

だとすれば特許なんかはどうなってるの?

なんて思うかもしれませんしね。

今これを書いている東 順子は、

この方法を台湾の台北市にある

「国際若石(じゃくせき)健康研究会」

というところで勉強しました。

では、そこの先生が発見または発明したのか、

というと、そうではありません。

どうやらかなり昔から、

人々は足に興味を持ち、

そして足を揉んでいたようです。

例えば、上の図は「仏足石(仏足跡)」

というもので、

奈良の薬師寺にあるものを私が模写して、

彩色したのです。

本物は石です。

なんとなく反射区に似ていますが、

「お釈迦様の足裏」だそうです。

これは信仰の対象で、

あたかもそこにお釈迦様が

立っていらっしゃることをイメージして、

拝むのです。

仏像を拝むように。

お釈迦様が亡くなった2,500年ぐらい前には、

仏像ではなく 

仏足石が主な信仰の対象だったそうです。

でも、なんでまたよりにもよって、

足なんでしょう。

 

それはたぶん、

お釈迦様が現れる前の原始宗教

(バラモン教とか) のころから、

人々は足のパワーとか不思議に気づいていた

ということではないでしょうか。

自然発生的に。

もう一つの絵はエジプトのお墓の壁画です。

4千年以上前のものです。

左の二人は足を揉んでいて、

右の二人は手を揉んでいます。

私たちがやっているフットマッサージ、

ハンドマッサージは

4千年前にはすでにやっていた

ということです。

こんな風に、

体の末端を刺激するということは、

かなり昔からおこなわれていたようです。

他にも世界各地で「足」に関する資料は

発見されていて、

民間伝承の医療とか健康法として

「足を揉む」ということは

おこなわれていたようです。

それを20世紀に入って、科学的に研究され、

たくさんの実験の結果、

「神経反射」であるということが

わかりました。

 

今では、普通の人が普通に理解できるほどに

簡単な理論で説明できます。

「反射」「反射区」

~双方向通信システム~

 

私たちの体の末端である足や手には、

「反射区」という、

末梢神経の集中箇所があって、

それは面積と深さを持った 

立体と考えてよいようです。

その反射区は、神経で体中の器官に

つながっています。

 

よく「足ツボ」と、言いますが、

正確にはこれはツボではありません。

ツボというのは中国医学の「穴=ケツ」で、

気の流れる道「経絡」の、

ところどころにある、点のことです。

この穴を上手に刺激すると、

さまざまな健康効果、

医療的効果があるというものです。

足にもたくさんの穴があり、

反射区とダブっているところも

たくさんあります。

穴は点ですので面積はありません。

足を揉むということは、

結果的には反射区にもツボ=穴にも

刺激が入りますので、

両方の効果が見込めるということです。

 

その反射区とは具体的にどんなものか

というと、次のような特徴があります。

 

1 反射区を刺激すると、

 対応する器官が活性化する。

 図では「腎臓」の反射区と、

 腎臓本体を例にあげています。

 活性化するというのは、元気になる、

 ということですが、

 働きが活発になるだけでなく、

 働きすぎの器官は活動を押さえ、

 正常に戻すという意味で、

 「正常化」というのが正しいです。

 例えば、腰椎の反射区を刺激すると、

 腰が柔らかくなって、前屈が楽になる、

 など、その場で確認できる実験も

 いくつかあります。

 反射区への刺激は、

 足を揉むということだけでなく、

 歩くことをはじめ、

 いろいろな運動をすることで自然に

 おこなわれています。

 ですからよく歩き動く人は健康なんですね。

 逆に歩くことをせず、

 足裏への刺激がないと、

 足が弱るだけでなく、

 さまざまな臓器が弱ってくると

 いうことになります。

 

2 器官に異状があると、

 対応する反射区に反応が現れる。

 反応とはどんなものかというと、

 タコやウオノメ、皮膚の異状、

 足の骨格の異状なども含まれます。

 押したら痛いというのも参考になりますが、

 痛いから病気というわけではありません。

 このしくみを活用すると、

 足を観察することによって

 その人の体の状態を推察することも

 できます。

 つまり、

 「この人の腰痛は

 どこから来ているんだろう」

 といったことに役立てるのです。

投影という現象

~足に「わたし」がいる~

  

現在わかっている64の反射区は、

足にランダムに並んでいるわけではなく、

ある規則性を持って配置されています。

図のように、二つの足をそろえると、

そこにひとりの人が貼りついているような

形なのです。

つまり、足に「わたし」がいる、

という現象です。

拇趾のふくらみの部分は頭蓋骨であり、

脳があります。

二つの拇趾で一人分の脳です。

5本のゆびの付け根の硬いところ

(よくタコができる部分)は

人体の肋骨にあたります。

肋骨内臓器である肺や心臓の半分、

肝臓の半分などが配置されています。

背中の僧帽筋などもここです。

土踏まずはやわらかい「お腹」。

つまり消化器系統などの

内臓が配置されています。

そしてかかとは、硬い「骨盤」です。

生殖器官、女性なら子宮・卵巣、

男性なら前立腺・睾丸などです。

このように足の形自体が体の形に似ていて、

しかもこれ以上ないというぐらい

強靭な構造です。

このように、

全体が部分に投影するという現象は、

しばしば見られ、顔にもひとりいる、

耳にも、両耳でひとりいるといわれます。

このような「投影」という現象は、

「反射」とはまた違います。

反射区は手と足にありますが、

他の部分(顔や耳など)は

反射区ではありません。

 

反射については、

神経伝達ということがわかっていますが、

投影については、

どうしてこのようなことが起きるのか、

わかっていません。

刺激の伝達

~リフレクソロジーが安全である理由~ 

 

「刺激と活性化」という言葉があります。 

景気刺激策で経済を活性化とか、ですね。 

私たちもふだん無意識にやっています。 

肩がこったから、肩を揉む。

これも、こった部分を揉むという刺激で

活性化したいんですよね。

刺激はいろいろな方法があって、

押したり揉んだりなでたり、

鍼灸というのもありますし、

電磁波もあります。温熱もそうです。

 

これらは、外部からの刺激です。

こっている部分に刺激を届けるには、

皮膚⇒皮下脂肪⇒筋肉という道筋を通ります。

ですから、あまり強く刺激すると、

通り道の組織にご迷惑をかけることも

あります。

強く揉みすぎてアザになったりですね。

 

一方、リフレクソロジーの刺激伝達は

神経伝達ですから、体の中を通ります。

 

神経の伝達速度は、

神経線維の太さにもよりますが、

遅くても1m/秒、

早い部分では100m/秒ですので、

いずれにしても「即時」といっていい速さ。

しかも、体内の伝達ですので、

他の組織に何も迷惑をかけません。

 

例えば強い指圧とか、電磁治療を、

小さな赤ちゃんにしようと思いますか?

普通、そんなことはしません。

でも、リフレクソロジーは、

生まれたばかりの赤ちゃんから

100歳の高齢者でも大丈夫な、

安全な刺激だといえます。

 

しかも刺激する足は、

人体で最も丈夫な部分です。

一生涯全体重を支えて生きていくのですから。

揉む技術がなくても、

だれでも安全に効果が得られるのです。

 

 

足は第2の心臓

~私たちは動くことで健康になる~

 

 

「第2の心臓」という言葉はしばしば

聞かれると思います。

「足は第2の心臓」

ほとんどの人が知っています。でも、

2の心臓とは、具体的に何のことでしょう。

まず、第1の心臓は当然、

私たちの胸にある心臓です。

心臓はポンプですので、

血液に圧をかけて体中に

送り出すのが仕事です。

特に必要としているのが脳です。

心臓より上にありますから、

圧をしっかりかけて引力に逆らって

送ってあげる必要があります。

そして帰り道は引力がありますから、

自然に心臓に戻ります。

では心臓より下の臓器はどうでしょう。

行きは心臓の圧力+引力がありますので、

問題ありませんが、

帰りはどうするかという問題です。

心臓は、帰りの力まで与えているかというと、

そうではありません。

血液は細胞に到達すると、

いったん速度がゼロになります。

そこから別の力が働き、

引力に逆らって心臓まで戻ってくるのです。

その力が、第2の心臓です。

2の心臓の正体は、筋肉です。

正確には、筋肉と、

静脈・リンパ管に備わっている

逆流防止弁です。

筋肉は、私たちが動くことで緊張(収縮)と

弛緩を繰り返し、

そばにある血管を圧迫したり

ゆるめたりします。

それによって血液は上へ上へと

運ばれていくのです。(図)

これをミルキングアクションといいます。

ちょうど乳搾りのようなメカニズムです。

ミルキングアクションは、

自律神経の働きによっても起こりますので、

私たちが夜寝ている間にも

途切れないのですが、

やはりきちんと運動したほうが

血液循環は活発になります。

けれども、現代人はどうしても

運動不足になりがちです。

また、筋肉が少ないと、

血液の戻りも悪くなります。

 

 

これを書いている20204月、

世界中が新型コロナウイルスのために

外出を制限されています。

運動施設の利用も規制され、

私たちはどうしても運動不足になりやすい

状態です。

私が心配しているのは、

運動不足がたくさんの不調の原因になり、

病気の原因になり、

場合によっては心まで病んでしまうことに

なりかねないということです。

リフレクソロジーは、反射区を刺激し、

その結果全身の器官を活性化し、

血流を改善します。

足の筋肉を心臓方向にマッサージしますので、

ちょうどミルキングアクションを

手の力でやっているといっていいのです。

リフレクソロジーは、私たちに、

運動に近い効果をもたらします。

でも、筋肉を作ることはできませんので、

それはやはり自分で運動をするしか

ありません。

体調を整えながら、

室内でできる運動を心がけ、

やがて新型コロナウイルスが収束する日を

待ちましょう。


さあ、それではご自分の足を揉んでみましょう。

簡単な揉み方をお教えします。

わかりにくいところはいつでもご質問ください。